上司からこう言われることがある。
「ちょっと相談したいことがあるんだけど」
この言葉を聞いた瞬間、私はもう察している。
重い指示だなと。
軽い顔をした、重い指示
「ちょっと相談したいことがあるんだけど」
「こういう状況なんだけど、どうしたらいいと思う?」
相談を受けて、自分の考えを伝える。
すると、こう返ってくる。
「じゃあ、関係する部署とも話したほうがいいね」
「打ち合わせのセッティングお願い」
打ち合わせのセッティングは、簡単な作業だ。
関係するメンバーの予定を確認し、空いている時間帯で会議案内を送る。
ただそれだけだ。
だから、この「打ち合わせのセッティングお願い」という指示は、表面上はすごく軽い。
でも実際には、資料を作って、論点を整理して、当日の進行もして、打ち合わせで出た宿題も拾って…
そういうのが全部含まれている。
つまり、「打ち合わせのセッティングお願い」は「この案件の主担当者として推進をお願い」なのだ。
軽い言い方で、重い仕事を渡される。
これはかなりモヤる。
こういう経験をしている人は多いと思う。
なぜ「軽い言い方」で、重い指示をするのか
これには、人間らしい心理があると思う。
まず、罪悪感を弱めたいということがあると思う。
重い仕事の指示をするとき、指示する側は「負担をかける」という自覚がある。
その罪悪感を少しでも軽くしたいから、言い方を柔らかくする。
「この案件の主担当者として推進をお願い」とストレートに言うと、自分が“重い指示をしている人”になる。
だから「打ち合わせをセッティングしておいて」という軽い言い方で包む。
これは、指示する側が自分の心を守るための言い方なんだと思う。
また、「察して動く」という文化の中で、そういう指示のされ方をしてきたから、同じやり方をしている可能性もある。
そういう職場で生きてきた結果、そのスタイルが染みついているのかもしれない。
いずれにしても、軽い言い方は、ズルさでも、悪意でもない。
だから私は、本当は納得していないけれど、「まあ、人間だからしょうがないよね」と思うようにしている。
でも、やっぱりモヤっとはする。
するんだけど、あきらめている。
「またこのパターンか」
「はいはい、そういう流れね」
そんな感じで受け止めている。
まとめ
人は、重い指示を軽く言いたくなる。
私は、その気持ちがわかる。
自分が指示する側に回るとき、同じように言葉を柔らかくしたくなる瞬間が確かにあるからだ。
でも、自分がされて嫌だと思っているから、私はやらないようにしている。
重いものは重いと言う。
具体的にやってほしいことをはっきりと言う。
そのほうが、受け取る側が余計な解釈とモヤモヤを背負わなくて済む。
軽い言い方の重い指示は、指示する側の負担を減らし、指示される側の負担を増やす。
それに気づいているからこそ、私はごまかさないほうを選んでいる。

