『魔女の宅急便』は何回みても面白い。
子どもの頃から何度も見返している大好きな作品だ。
大人になった今、子供の頃には気づかなかった物語が見えるようになった。
※この後の文章にはネタバレが含まれます。
あらすじ
魔女の修行のために、故郷を離れて海辺の街・コリコにやってきた13歳のキキ。
黒猫のジジは、キキの相棒であり、喧嘩をすることもあるけれど親友のような存在。
街での生活を始めたキキは、ほうきで空を飛ぶ力を活かして宅配屋を始める。
パン屋のおソノさんに助けられながら、少しずつ街に馴染んでいく。
そんな中で出会うのが、飛行機械に夢中な少年・トンボ。
彼はキキの魔法に憧れ、キキは彼のまっすぐな好奇心に戸惑いながらも惹かれていく。
順調に見えた生活は、ある日突然崩れる。
キキは飛べなくなる。
そして、ジジの声も聞こえなくなる。
自信を失い、部屋に閉じこもるキキ。
けれど、トンボの危機を前に、キキは再び空へ飛び立つ。
私の視点で見る『魔女の宅急便』
キキが飛べなくなる場面は、私たちが生きていく中で訪れる「うまくいかなくなる時期」と重なって見える。
そして、再び飛べるようになったとき、ジジの声が聞こえないという事実が、私に次のメッセージを強く感じさせるのだ。
元に戻ることが「回復」ではない。
変わったまま進むことが「成長」なんだ。
終盤で、キキは飛べなくなる前と同じように飛んでいるように見える。
でも、状況はまったく違う。
以前のキキは、飛べることが当たり前だった。
今のキキは、飛べなくなった経験を抱えて飛んでいる。
同じ“飛ぶ”でも、意味が全く違う。
その“違い”を象徴しているのが、ジジの声が聞こえないということだ。
これって、私たちの人生にもあると思う。
例えば、体調を崩して、しばらく休むことになった人は、回復しても以前と同じ生活には戻らない。
- 休むことの大切さを知る
- 自分の体の声を聞くようになる
- 無理を積み重ねないようになる
同じ「生活」をしていても、その生活の仕方は変わっている。
これは「元に戻れなかった」のではなく、自分の体調と折り合いをつけながら生きるという新しい選択だ。
また、大きな病気を経験した人が、「病気になってよかった」と言うことがある。
幸い、私は大きな病気を経験したことがないので、想像にはなるが、それは、病気そのものが良かったという意味ではなく、その経験によって、
- 人の優しさを知った
- 生き方を変えた
- 大切なものが見えた
そういう“変化”が起きたからなのだと思う。
一度“飛べなくなった”経験は、その後の“飛び方”を変えるのだと思う。
以前と同じように”飛ぶ”のではなく、過去を受け入れた上で”飛ぶ”のだと思う。
それは「元に戻れなかった」という敗北ではなく、変わった自分で生きていくという成熟だと思う。
これは、その後の人生を豊かにしてくれる変化だと思う。
だから、元に戻ることよりも価値のあることだと私は思う。
キキは、物語の終盤で、“以前のキキに戻る”のではなく、“変わったキキとして飛ぶ”。
最後の飛行シーンはただの成功ではなく、新しい自分を受け入れた瞬間なんだと思う。
魔女の宅急便は、“変化を抱えて進む”という人生の哲学を描いた物語だと、今の私には見えている。

人生いろいろあるけれど、変化を受け入れて進むキキの姿は、
私に勇気をくれます。

